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アドバンストアイには大手上場企業から、中堅企業、小規模企業まで、さまざまな売上規模の会社のM&Aを手がけてきました。
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今回の事例は、売り手企業側のM&A会社の知識不足によって、不当に安く売ってしまったという典型的な事例になります。
企業の株式価値を算定する一つの目安として、業績ごとに算出された「営業利益の倍」という指標が参考になります。
業種や時期によってこの数字は変化し、時には2倍から3倍、場合によっては10倍になることもあります。
今回の事例のケースのようなシステム開発技術者を派遣する会社の場合、人手不足の背景もあり、営業利益の6倍から8倍が標準的とされていました。ですから、8倍の金額から交渉をはじめてもおかしくありませんでした。
具体的に計算をしてみると、営業利益を4000万円として仮に指標の8倍をかけると、その値は3億2000万円となります。
一方、借入金3億円から現預金1.5億円を差し引いた純有利子負債は1.5億円となり、3億2000万円から1.5億円を差し引いた金額が、この会社の株式水準となり、1.7億円がA社の売却価格の目安になります。
今回の事例では、63歳のオーナーが病を患い、早急に事業承継を進めたいと考え、あるM&A仲介会社に依頼しました。
しかし、仲介会社が提示したのは純資産と同額の1億円。担当者には十分なM&Aの知見がなく、オーナーはその言葉を鵜呑みにしてしまいました。
当然ながら、この割安な案件を、企業の買収・売却を繰り返し利益を上げる投資ファンドが見逃すはずはありません。
結果として、この会社は投資ファンドに1億円で売却されました。オーナーが個人保証から解放され、将来への不安を解消できたというメリットは確かにあります。
しかし、買収した投資ファンドはシナジー効果を期待してこの企業を買ったわけではありません。ただ、売却価格が安かったから買ったに過ぎないのです。
本来、企業の価値は純資産だけで決まるものではありません。事業の将来性、収益力、ブランド力、顧客基盤など、さまざまな要素を総合的に評価する必要があります。特に、継続的に利益を生みだしている企業であれば、営業利益をもとに適正な価格を算出することが重要です。
それにもかかわらず、純資産額をそのまま売却価格とする提案がなされた背景には、M&A仲介会社の知識不足や、適切な買い手を見つける努力の欠如があった可能性があります。
今回のケースの場合は、オーナー側の事情があったとはいえ、適正な評価と交渉が行われていれば、より高い売却価格を実現できたはずです。
M&Aを成功させるためには、正しい企業評価を行い、最良の買い手を見つけ、適正な価格で売却することが不可欠です。売り手側もM&Aの知識を持ち、信頼できるアドバイザーを選ぶ重要性が、改めて浮き彫りになった事例だといえます。
実際、投資会社は1億円で買収したこの会社を、わずか1年半後に3.5億円で売却し、2.5億円の利益を得ました。
しかし、会社の実態は変わっておらず、金融市場にも特段の変化はありません。1年半でこの会社の価値が3倍以上に急上昇したとは考えにくいですが、それにもかかわらず、なぜ3倍以上の価格で売却できたのでしょうか。
言いかえれば、投資ファンドが売却を成立させた3.5億円こそ、この会社のM&A市場における実質的な価値だったと考えられます。
先ほどの計算では、営業利益が4000万円の場合、株式価値は1.7億円でした。仮に営業利益が5000万円とすれば、売却価格の目安は2.5億円になります。
本来のM&Aのプロセスでは、この会社の個別の状況を詳細に分析し、適正な売却価格を補正する必要があります。たとえば、事業と無関係な余剰資金があれば加算し、未払いの残業代があれば減算するといった調整が行われます。この会社には、評価すべき大きな加算要素があったからこそ、3.5億円で売却できた可能性が高いのです。
しかし、オーナーが売り急ぎ、M&A仲介会社に十分な知識がなかったために、この会社は結果的に2.5億円もの収益機会を逃してしまいました。
たしかに、オーナーは心配事から解放されました。しかし、そこで働く従業員の気持ちはどうでしょうか。自分の勤める会社が一度ならず二度までも売却される状況を、どのような気持ちで受け止めるのでしょうか。
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