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2021年3月に会社法が改正されました。今回は新設された“株式交付制度”について解説したいと思います。
2021年3月に施行された改正会社法によって、自社の株式を対価として他社を子会社化する株式交付制度が導入されました。
今回の会社法の改正は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営、及び取締役の職務の執行の一層の適正化を図ることを主な目的として改正されました。
その中で株式交付制度は、買手が売主から株式を譲受け、その対価として買手の自社株を交付することができるという内容になります。
中小企業のM&Aで最も活用されている株式譲渡は、売主から株式を譲受けた対価として、買手側は現金を交付しますが、株式交付制度は現金ではなく株式を交付します。
株式交換制度は、買手が売手の発行済株式の全て(100%)を取得する方法であり、買手と売手において100%の親子関係を実現させるための組織再編です。
対価としては、現金のほかに、社債、親会社(買手)株式などが認められています。
株式交換制度は完全(100%)子会社化のための制度ですが、株式交付制度は子会社化しさえすればいいのです。
手元資金が少ない買手企業でも、株式交付制度を利用することができるため、今後、選択肢の一つとして使われていくと思われます。
M&Aで事業からの引退を考えている経営者は、対価として現金を得たいと考えている方が一番多いかと思います。
したがって、中小企業のM&Aスキームとして、株式交付制度がすぐに一般的になるのは難しいのではないかと考えています。
未上場企業同士のM&Aであれば、買手企業(未上場)の株式を対価として得たところで、上場株式のような流動性がないことが売主にとってのネックかと思います。一方、買手が上場企業の場合、あるいは、未上場でも伸びゆくベンチャー企業であれば、有効な手段になり得る可能性もあります。
今回の株式交付制度の導入により、中小企業のM&Aがさらに活性化することを願っています。
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