M&Aで評価された無形資産とは?

化粧品や健康食品のインターネット通販市場では、顧客層の世代によって消費行動やアプローチが大きく異なります。
 
「競争の激しい環境で、事業価値を高めるためには何が必要か?」
 
その答えを探るヒントとして、今回は顧客情報が評価された化粧品の通販会社のM&A事例についてご紹介します。

あなたの顧客データは宝になるか?

毎月数万円といった高額な商品を継続的に購入するのは、主に経済的に余裕のある50代から70代の女性層に見られる傾向です。この世代は、品質を重視し、一度気に入ると高額であっても継続して使い続ける傾向が強いとされています。これは、企業にとって安定した収益基盤となりやすい顧客層と言えるます。
 
対照的に、20代から30代の若い世代の女性は、多様な商品に関心を持ち、消費が分散し、比較的移り気な傾向が見られます。この層への浸透は、その後の結婚や出産といったライフイベントに応じた長期的な顧客育成や他分野への展開につながる可能性がありますが、一般的に経済的な余裕は限定的であるため、比較的リーズナブルな価格帯の商品が選ばれやすい傾向にあります。
 
このようにターゲットとする世代によって、求められる商品内容、価格帯、そして広告宣伝の方法は大きく異なります。そして、どちらの市場も巨大な潜在力を持つ一方で、既存企業による競争は極めて激しい市場環境です。実際、多くの企業がこの激しい市場への参入と撤退を繰り返しています。
 
このような背景がある中で、今回ご紹介する売却の事例は、20代向けの化粧品メーカーに、50代から60代の女性を顧客層とし、数万件規模の顧客を抱える化粧品通販会社を売却したケースです。
 
今回の事例では、売却された会社はどのような点が評価されたのでしょうか。

M&Aで評価された無形資産とは?

M&Aにより売却された、50代から60代女性向けの化粧品通販会社。同社が高く評価された背景には、長年かけて蓄積された詳細な顧客データがありました。
 
この会社は、顧客一人ひとりの詳細な購買履歴に加え、商品の問い合わせ内容、クレーム、さらには解約に至った理由まで、綿密に記録・分析していました。そのため、これは単なる顧客リストではなく、顧客の行動や感情が詰まった非常に質の高いデータでした。
 
こうした顧客データからは、なぜこの会社が数万人の顧客から強い支持を獲得できたのか、その成功要因が明らかになります。また、どの商品を改善すべきか、あるいはどのような新商品を開発するべきかといった、具体的な商品戦略を効果的に策定することができます。
 
さらに、このデータを活用することで、これまで20代をメインターゲットとしてきた買収元メーカーは、50代から60代向け市場への参入リスクを最小限に抑えることが可能になります。これは、すでに成功している企業の顧客データを分析することで、データに基づいた確実な戦略を立てられるためです。
 

化粧品通販会社が評価された理由
  • 高額な商品を継続購入できる顧客を囲い込んでいる
  • 顧客からのクレームや解約理由など詳細な情報を記録していた
  • 顧客情報をしっかり管理することで、顧客に信頼されていた

コンシューマービジネスにとって、顧客情報はかけがえのない資産です。
 
個人情報を含む顧客データの収集・管理は、確かに容易ではありません。ですが、これを徹底し、適切に扱う企業こそが、顧客との間に強固な信頼関係を築き上げます。そして、その信頼を基盤に、データ分析を通じて一人ひとりに最適化された体験を提供することが、事業成長には不可欠です。
 
大量の一過性データより、継続顧客の情報を丁寧に蓄積・分析することが重要です。その特性を示せれば、事業資産として評価され、M&Aなどで想定以上の価値を生み出す可能性があります。

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