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アドバンストアイには大手上場企業から、中堅企業、小規模企業まで、さまざまな売上規模の会社のM&Aを手がけてきました。
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ある小規模なシステム開発会社のM&Aによる売却事例です。
従業員5名、売上約1億円で金融機関向けにパッケージソフトを展開する会社でした。収益は、ほぼ横ばいで推移し、収益性の高い年でも営業利益は1,000万ほど。借入金も存在し、経営者は会社の売却額を2000万円程度だと考えていました。
しかし驚くことに、この会社は従業員100名を超えるシステム開発会社との間で、約1億円という予想を大きく上回る金額でM&Aが成立したのです。
なぜ、これほどまでに高い評価が得られたのでしょうか。
目次
約1億円という金額での売却が実現した大きな要因は、厳格な取引審査を持つ大手上場企業と直接取引の実績があった点にありました。
それに加えて、大手ITベンダーを通じて同社のパッケージソフトが販売されていたことも、買い手企業に高く評価されたポイントです。
買い手企業のシステム会社は、いわゆる「二次請け」「三次請け」のIT技術者派遣会社でした。一般的に、こうした二次請け、三次請けの企業が大手企業と新規に直接取引を開始することは極めて困難です。特に上場企業は、コンプライアンス遵守や労働基準法への対応に厳格なため、二重派遣や偽装請負といった問題のリスクを避ける観点から、新規の取引には非常に慎重にならざるを得ないからです。
このような背景から、買い手企業にとって、この売り手企業は単に売上1億円、営業利益1000万規模のシステム会社、というだけではありませんでした。大手上場企業との継続的な取引関係を持つという、極めて希少な価値を持つ会社だったのです。
M&Aにおいては、自社の販売網を補完できるネットワークを持つ中小企業が、買い手企業から高く評価されやすい傾向にあります。
他の会社の事例になりますが、大手商社に売却されたある化学品材料メーカーは、優れた製造能力のほかに、独自の販売網がM&Aの決め手の一つになりました。
このメーカーは、自社の材料を使用する全国の施工業者のネットワークを構築していました。このネットワークに参加する業者は、材料の購入者であると同時に販売店でもありました。
材料販売の経験がない買い手の大手商社は、この既存のネットワークに自社製品を乗せられる点に大きな価値を見出したのです。
会社の価値として評価される販売網とは、どのようなものなのでしょうか。
重要な要素として挙げられるのが「密度」になります。販売網の密度には、主に次のような3つのタイプがあります。
• ある狭い地域(県内や市内など)に限定されるが、その地域での密度が非常に高いケース
• 東北や九州など、ある程度広い地域を隙間なくカバーしているケース
• 個々の顧客との密度は低いが、全国に広がっているケース
どのタイプの販売網が買い手にとって価値があるかは、買い手がその販売網で扱いたい製品や、買い手自身の販売網の状況によって異なります。
しかし、上記のいずれかの特徴的な販売網があれば、買い手企業の特定のニーズに合致し、M&Aにおいて高い評価を得られる可能性があります。
広く密度の低い販売網よりも、特定の地域に密度の高い販売網の方が、M&Aにおいて高く評価される傾向にあるといえます。これは物流コストや人材配置の無駄を省きやすいことなどが理由として挙げられます。
買い手企業がM&Aを検討する際、売り手企業が持つ既存の流通ルートに、自社が新たに開発した製品やサービスを流通させることを考える場合があります。
そうした場合、広く浅い全国的な販売網よりも、特定の地域で圧倒的な浸透度を誇る密度の高い販売網の方が、買い手にとって大きな魅力となります。
これは特定地域の顧客の反応を詳細に把握しやすく、成功モデルを確立してから他の地域へ展開するという段階的な戦略を採用しやすいためです。
一方で、売り手の中小企業の経営者は「うちの会社は〇〇県でしか商売していない」「顧客は北関東にしかいない」といった地域限定の事業規模を、M&Aにおけるマイナス要素になると捉えがちです。
しかしながら、対象地域での販売網が手薄で、何としても足がかりを築きたいと考えている買い手企業にとっては、たとえ狭いエリアに限定されていても、その圧倒的な販売網が、むしろ「宝の山」となることがあります。したがった、狭いエリアで事業を営む中小企業が、その地域に根ざした密度の高い販売網をM&Aにおける強みにならないと判断するのは、早計だといえます。
これらの事例が示すように、中小企業のM&Aにおける価値は、売上規模や利益といった表面的な財務数値だけで決まるわけではありません。
むしろ、財務諸表には直接現れない、独自の強みや希少性がM&Aの評価額を大きく左右する重要な要素となります。
例えば、取引審査の厳しい大手上場企業との継続的な取引関係や、特定の地域に深く根差した密度の高いネットワークなどは、買い手企業が自社にないものを補完できるという点で、極めて価値が高いと評価されます。
買い手にとって、こうした「資産」を獲得することは、新たな市場への参入や、自社の非効率性の解消につながり、将来的な収益向上を見込める魅力的な投資となるからです。
売り手である中小企業の経営者は、自身の事業の地域限定性や規模の小ささをM&Aにおける弱点を考えがちです。しかし、実は「当たり前」と思っていた中にこそ、買い手企業が欲する独自の強みが隠されている可能性があります。
M&Aを検討する際は、自社の持つこうした目に見えない価値である「隠れた強み」がどこかにあるかを見出し、それを買い手候補に適切にアピールすることが成功の鍵となります。
M&Aは、単なる会社の売却や買収ではなく、中小企業が持つ独自の価値を次世代に引き継ぎ、さらなる成長を目指すための一つの戦略です。自社の本当の価値を知り、M&Aという選択肢を通じて、その価値を最大限に引き出せる可能性があることを、ぜひ知っておいていただければ幸いです。
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